2019/04/22
かかりつけ医院を停電から守る 震災経験の医師が太陽光発電システム提案
河北新報 4/21(日) 17:30配信
屋根に取り付けた太陽光パネルを示す安藤さん=名取市愛の杜の「あいのもりクリニック」
災害時に身近なかかりつけ医院を停電から守ろうと、宮城県内の産学医が連携して太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電源システムを開発した。東日本大震災を経験した仙台市の医師が提案。天気が悪い日でも蓄電できる点が新しく、宮城発のアイデアで地域医療のとりでを守りたい考えだ。
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提案者は仙台市医師会災害対策部長を務めるあんどうクリニック(太白区)の安藤健二郎院長(59)。「震災発生時、停電で休診を余儀なくされた民間医院が少なくなかった」との教訓を生かした。
電源システムは1.2キロワットの太陽光パネルと容量2.7キロワット時の蓄電池のほか、一般電力との切換装置や遠隔監視システムを備える。「ワンダーパワーステーション」の商品名で、主に個人医院・診療所向けに2月から販売している。
特徴は蓄電効率の高さ。東北大の白方雅人特任教授が開発したマンガン系リチウム電池を採用した。コンデンサーを使わないため、太陽光パネルから直接蓄電でき、雨や曇りでも蓄電が可能になった。
晴れの日は3時間でフル充電できる。停電時は一般の個人医院・診療所で必要とされる使用電力360ワットを7時間半使えるという。白方氏は「蓄電容量は小さくてシンプルだが、充電効率や安全性が高く、非常時の支えになる」と太鼓判を押す。
近年は個人医院も電子カルテや薬品の保存に電気を使用し、停電のリスクが高まっていた。大病院に比べて非常用電源の導入が進んでおらず、災害時に患者が大病院に殺到する原因にもなっていた。
安藤さんは2016年に熊本地震の医療救援で現地を訪れた際も必要性を痛感し、母校の東北大に相談。大手メーカーで蓄電池開発に携わった白方氏らが3年がかりでシステムを完成させた。製造は古川電気工業(宮城野区)が担う。
安藤さんは「非常時にかかりつけ医が機能すれば地域の安心につながる。震災の教訓を生かした備えを全国に発信したい」と話す。
価格は270万円から。販売先は東和プロネッツ022(246)8481。 |