2017/04/17
期待が高まる「家庭用蓄電池」の将来性と活用法
@DIME 4/15(土) 10:30配信
「家庭用蓄電池」への期待が高まっている。電気代がお得になるとともに停電時の備えにもなる蓄電池は2011年の東日本大震災後に多く普及した。太陽光発電システムと組み合わせることで効率的に利用ができる。いま、家庭用蓄電池にまた注目が集まる理由とともに、家庭用蓄電池の将来性や活用法をみていこう。
蓄電池にはまだまだ課題がある。現状、170万〜270万円ほどと価格が高い。
■増え続ける「家庭用蓄電池」
家庭用蓄電池とは、家のコンセントからの電気、もしくは、屋根の上の太陽光パネルによって集めた光による電気を蓄電しておける電池のこと。余剰電力の利用で電気代の節約になるほか、停電時の備えにもなる。
家庭用蓄電池の研究・開発を行っている株式会社Looopの担当者によれば、家庭用蓄電池は日本全国における一年の出荷台数は4万台〜5万台ほど、金額でいうと600億円〜1,000億円ほどにも上るという。シード・プランニングの2014年時点のデータによれば、2020年には約5倍になることが予測されている。
●「2019年問題」が普及を後押し?
蓄電池に注目が集まっているのには「2019年問題」も背景にある。電力の余剰買取期間が終了する家庭が2019年度以降、数十万軒単位で発生するというのだ。
太陽光発電で余った電力を電力会社に売る「売電」ができる期間には、10年もしくは20年と限りがある。その旨が定められた経済産業省の資源エネルギー庁による「固定価格買取制度」は2009年11月1日からはじまったため、2019年になると太陽光発電を導入した際に電力会社と契約した人たちがちょうど10年目を迎える。
売電期間が終われば、もう電力が売れなくなる、もしくは低価格になってしまう家庭が出てくる。そこで余剰電力を売らずに自分で活用できる家庭用蓄電池に期待が寄せられている。
■家庭用蓄電池の課題
しかし、Looopの担当者によれば、家庭用蓄電池には課題もあるという。
本来、蓄電池には主に「電力需要の安定化」、「ピーク(割高時間帯)のタイムシフト」、「発電した電力の有効活用」の役割がある。太陽光発電を併用すれば燃料も要らないため、長きにわたって利用ができる。
しかし、蓄電池にはまだまだ課題がある。現状、170万〜270万円ほどと価格が高い。一昨年前までは導入に際して補助金が出たが、現時点では減っており、導入メリットが乏しい。電気料金プランにもそれほどメリットはないのだという。
■家庭用蓄電池の将来性
とはいえ家庭用蓄電池には、将来性はあるという。
「今後、蓄電池の材料価格が下がっていくことが予想され、家庭でも短い期間で初期投資が回収できるようになるでしょう。また、昼や夕方の電気代が高騰することが予想される中で、蓄電池で電気代を抑える動きは加速すると思われます」
「さらに最近では『VPP(仮想発電所)』の検討が進んでおり、各家庭や施設に導入された蓄電池の電力を融通し合い、あたかも発電所のように、広く電力を供給(共有)するようなしくみの構築が進む可能性があります。
電気代節約や停電時のメリットのほかに、今後はVPPや自動車用蓄電池との併用、アウトドアなどでの利用など、活用の幅が広がっていくかもしれません」
Looopは先刻、人工知能を搭載し、各家庭ごとに自動制御してコストメリットを高める新タイプの家庭用蓄電池「Looopでんち」を開発したことで話題になっている。太陽光発電の発電量予測や電力の需要予測、地点ごとの天気予報などのビックデータを活用。電気代の安い未明時間帯に充電、雨のときは他の時間帯に充電など、自動で制御するのだそうだ。
電気代高騰、防災意識の高まり、2019年問題。家庭用蓄電池は今後、活用の幅も広がり、当たり前のように利用される時代がくるかもしれない。
(取材協力)
株式会社Looop
取材・文/石原亜香利
@DIME編集部
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