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2016/09/19

累進制で膨らむ電気代、「再生エネルギー自家発電」需要高める

ハンギョレ新聞9月18日(日)6時30分配信

猛暑で新再生エネルギー発電の問合せ・設置が急増 エネルギー公団など、事業のうちソーラーパネルが一番人気 電気代大幅に下がり「満足」、4〜7年で元金回収 政府、新再生発電を2030年100万世帯を目標 
  今年の夏は長い猛暑により住宅用電気料金の累進制に対する市民の不満がピークに達した。暑さと死闘を繰り広げているのに気軽にエアコンもつけられないという不満の爆発は、ついに長年の課題である電気料金の改編に火をつけた。

 共に民主党のオ・ジェセ議員が最近韓国電力から入手し公開した内容によると、猛暑がピークに至っていない時期にもかかわらず、7月の電気料金は36万4991世帯で2倍以上上がり、5倍以上上がった世帯も1万8807世帯にのぼる。この期間の電力使用量は前月より6.5%増えたが、電気料金の伸び率は13.6%で、この2倍にあたる。

 この「事態」は家庭用新再生エネルギーに対する市民の関心を呼び起こしもした。太陽光発電パネル(ソーラーパネル)などの普及を支援する韓国エネルギー公団と全国約20の広域・基礎地方自治体には、市民の問い合わせが殺到している。ソウル市の場合、普段は1日20〜30件ほどだったソーラーパネルについての問い合わせ電話が7〜8月には1日50〜100通にのぼった。実際の設置件数も3〜6月は1カ月600件台だったが、7〜8月は900件台に跳ね上がった。

 市民が家庭用新再生エネルギーを利用する方法は二つだ。 一つは、産業通商資源部傘下の韓国エネルギー公団の住宅支援事業に参加すること。太陽光、太陽熱、地熱、燃料電池など新再生エネルギーの装備を住宅に設置すると、設置費の一部を政府が支援する事業だ。2004年から施行された「ソーラー住宅10万戸普及事業」は2008年に「グリーンホーム100万戸事業」に拡大された。

 政府は2015年までに、22万3459世帯が参加した同事業に7297億ウォン(約680億円)を投資した。エネルギーの種類別では、太陽光が18万6580世帯(83.5%)で圧倒的に多く、太陽熱が2万4296世帯(10.9%)、地熱が9634世帯(4.3%)、燃料電池が2249世帯(1.0%)、小型風力が352世帯(0.2%)、その他348世帯(0.2%)など。住宅の種類別では、国民賃貸住宅が12万1418世帯、戸建て住宅が7万9138世帯、共同住宅が2万2903世帯だ。地域別では、京畿道が3万9665戸(17.7%)で最も多く、慶尚南道が2万5541戸(11.4%)、忠清北道が1万9658戸(8.8%)、ソウルが1万8606戸(8.3%)、忠清南道が1万7610戸(7.9%)の順に多い。

 家庭用新再生エネルギーを利用するもう一つの方法は、各地方自治体が施行する太陽光ミニ発電所の普及事業に参加することだ。エネルギー公団の事業が4〜5種類の多様な新再生エネルギーから選択できる一方、地方自治体の事業は通常、ソーラーパネル事業に限定されている。

 また、エネルギー公団の事業には誰でも参加できるが、地方自治体の事業は該当地方自治体の住民だけが参加できる。先月まで、ソウル・釜山(ブサン)・大邱(テグ)・光州(クァンジュ)・仁川(インチョン)・京畿(キョンギ)の6つの広域市・道と、水原(スウォン)・城南(ソンナム)・九里(クリ)・坡州(パジュ)・安養(アニャン)・光明(クァンミョン)・安山(アンサン)・富川(ブチョン)・始興(シフン)・牙山(アサン)・完州(ワンジュ)・順天(スンチョン)、陜川(ハプチョン)・昌原(チャンウォン)・金海(キムヘ)・永川(ヨンチョン)・麟蹄(インジェ)・平昌(ピョンチャン)の18基礎市・郡がこれを施行している。ソウル市の場合、今年上半期までに合計1万2921世帯が参加したが、ベランダ型(マンション型)は7176世帯、住宅型は5745世帯だ。

 この事業に参加した市民の満足度は高いようだ。京畿道高陽(コヤン)市一山(イルサン)東区鼎鉢山(ジョンバルサン)洞のチェ・デギルさん(64)は、昨年7月、家族3人が住む戸建て住宅に3キロワットのソーラーパネルを設置した。設置前は月7万〜12万ウォン(約6500〜1万1000円)だった電気料金は、太陽光発電が一定程度の電気需要をカバーしてからは7000〜4万ウォン(約650〜3700円)と大幅に下がった。年に70万ウォン(約6万5000円)、月平均6万ウォン(約5500円)ほど電気料金が減った。猛暑が始まった今月7月も電気料金は3万ウォン(約2800円)にとどまった。

 チェさんがソーラーパネルを設置するのにかかった費用は全部で920万ウォン(約85万円)だが、このうち450万ウォン(約42万円)をエネルギー公団と高陽市が支援した。チェさんが実際に負担した費用は470万ウォン(約43万円)程度だ。現在の傾向が続けば7年で費用を回収し。8年目からは「利益」を出すと予想される。ソーラーパネルの寿命は通常20〜25年だ。

 昨年5月、4人が住む多世帯住宅の屋上に1キロワットのソーラーパネルを設置したソウル市蘆原(ノウォン)区下渓(ハゲ)1洞のキム・ジョンスクさん(56)も電気料金を大幅に減らした。月2万〜8万ウォン(約1800〜7500円)だった料金が5000〜4万ウォン(約460〜3700円)に減った。キムさんは投資費用を4年で回収できると予想した。設置後1年間で30万〜40万ウォン(約2万8000〜3万7000円)節約できたためだ。キムさんは全体の設置費260万ウォン(約24万円)のうち、134万ウォン(約12万5000円)を自ら支出し、残りはソウル市の支援を受けた。

 こうした成果により、エネルギー公団はこの事業を2020年までに40万世帯、2030年までに100万世帯に拡大する計画だ。政府も家庭用新再生エネルギー事業を拡大する案を検討している。 産業部のイ・ジングァン新再生エネルギー課長は「今年の猛暑により市民の家庭用新再生エネルギー需要が増えている。増えた需要分は追加補正予算や来年の予算に反映する予定」だと話した。

韓国の新再生発電、OECDで最下位レベル 
世界の太陽光市場が急成長しても目標は低迷 
ソーラーパネル世界1位の韓火Qセルズの国内需要1%未満 

環境連合「市民が生産した電気を義務購入すべき」

 しかし、世界的にみると韓国の新再生エネルギー政策はまだ遅れている。2014年の国際エネルギー機関(IEA)の資料によると、韓国のエネルギー消費全体のうち再生エネルギーの比重は1.1%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最下位だ。ドイツは11.1%、フランスは8.6%、英国は6.4%、米国は6.5%、日本は4.9%であり、OECDの平均は9.2%だった。韓国は新再生エネルギーのシェア目標も2035年までで13.4%に過ぎない。OECD加盟国の多くが2020〜2025年までに20〜45%を目標にしている。

 韓国は高い太陽光発電技術と生産力を保有しているが、これも活用されていない。韓火(ハンファ)Qセルズは、今年第1四半期に5.2ギガワット(GW)のセルを生産した世界首位のソーラーパネルメーカーだが、99%以上を輸出している。韓国国内の需要が多くないためだ。一方、世界の太陽光パネル市場は2010年の20ギガワットから2015年の57.3ギガワット、今年末には67.1ギガワット(予想)へと急成長している。

 このため、政府の新再生エネルギー政策が消極的だという指摘も出ている。環境運動連合のヤンイ・ウォンヨン局長は「もうソーラーパネルの購入を補助するレベルから脱し、市民の新再生エネルギー発電を積極的に誘導する政策に転換すべき」だと話した。例えば、市民が生産した新再生電力を一定の利益を保障しつつ買い上げる「発電差額支援制度」を導入しようというものだ。「少数の大規模発電」から「多数の小規模発電」へとエネルギー生産のパラダイムを変えようという考えだ。

キム・ギュウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

 

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