2016/08/22
センサーが感知しネットワークが住民を見守る!? IoT住宅の行く末
HARBOR BUSINESS Online8月22日(月)9時10分配信
7月27日、石井啓一国交相が、江東区にあるIoT住宅(LIXIL U2-Home/ユースクウェアホーム)を視察し、防犯・健康対策等にIoTを活用した実験住宅を視察するとともに、活用に向けた課題や方向性などについて意見交換をした。(参照:国土交通省)
LIXIL U2-Homeは、株式会社LIXIL総合研究所の実験住宅である。
2009年から試作を開始し、2013年より築16年(当時)の既存住宅(SW工法住宅)をリフォームしてできた施設で、LIXILの商品や生活研究のノウハウと、最新のセンサーやネットワークの技術を加えた、人・モノ・家・社会が情報で結ばれた「住生活の未来」についてのアイデア発想と検証実験を行っている。門や外壁をはじめ、窓や玄関といった開口部、バスルームやトイレなどの水まわりなど、LIXIL商材と家電・情報機器を通信ネットワークやセンサーを使って連携させた施設である。
◆IoT住宅に取り組む企業
LIXIL U2-Homeでは、門扉や外壁、窓、天井、壁、ドア、キッチン収納、水栓、浴槽、トイレなどの屋内外に200以上のセンサーを設置してネットワーク化している。部屋ごとの温度や湿度、ドアの開閉、住人の在室状況など、日々住生活に関わるデータを、また、屋外のセンサーから天候や風向き、PM2.5、紫外線などのデータを収集している。
同社はさらに、東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センター長の坂村健教授の協力を得て、住生活におけるIoTの活用に向けた「LIXIL IoT House プロジェクト」を進めている。2017年竣工予定の実証実験施設を建設しており、社員モニターを活用した実生活での検証や、理想モデルに基づく実証実験施設での検証などを通じて、住まいの中でのIoTの可能性を追求していくとしている。(参照:「LIXIL」)
こうしたIoT住宅は現在注目を集めており、LIXILの他にも、いくつかの企業が取り組んでいる。
◆東京急行電鉄「インテリジェント・ホーム」
東京急行電鉄は、グループ会社であるイッツ・コミュニケーションズのホームオートメーションサービス「インテリジェント・ホーム」を活用し、IoTの技術を取り入れたインターネット経由で外出先から家の中をスマートフォンやタブレットなどで確認・管理するサービスを提供している。また、複数の機器(モーションセンサー、IPカメラ、家電コントローラー(エアコン・照明)、電子錠)を自由に連携し、子供やペットの見守り、家の防犯対策などに活用できるという。(参照「東京急行電鉄」)
また、東京急行電鉄は、東急線沿線の住宅市場活性化を目的に、リノベる株式会社と一棟リノベーションマンション事業における業務提携および出資することにより、割安な中古マンションを改修し、最先端のIT(情報技術)を組み合わせることで「スマートハウス用リノベーションプラン(仮称)」を2016年中に提供開始予定である。
◆大和ハウス工業「D-HEMS 3(ディー・ヘムス・スリー)」
大和ハウス工業は、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)と太陽光発電システムを標準搭載したスマートハウスブランド「SMAEco(スマ・エコ)」を戸建住宅全商品に展開している。「SMAEco」には、パナソニックと共同開発した新型HEMS「D-HEMS 3(ディー・ヘムス・スリー)」、太陽光発電システムを標準搭載しているという。このシステムでは、家じゅうのエネルギー状況をはじめ、空調や玄関ドアなどをタッチひとつで自在に集中コントロールできる。タブレット端末は、テレビの視聴や録画もOKである。ワンタッチで家じゅうの空調機器をひとまとめにoffできるという。
以上、3社のIoT住宅の取り組みを見てきたが、現状を見る限りはまだまだ発展の可能性がある分野だと言える。
「スマートIoT推進フォーラムの今後の活動〜IoTテストベッドの整備と IoTプロジェクトの支援について〜」(平成28年5月19日 総務省情報通信国際戦略局 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT))によると、多様な分野でのIoTの産業化の実現化に向けて、先行的なモデルケース構築を支援する対象のひとつとして、IoTによる「高齢者・障害者の見守り」が挙げられている。
IoT住宅の未来には、「高齢者・障害者の見守り」サービスなども必須になってくるだろう。センシング情報によって、すべての建材や家電がコントロールされ、居住者を見守る全自動住宅。こんな住宅が実現する日もそう遠くないのかもしれない。
<文/丹羽唯一朗>
ハーバー・ビジネス・オンライン
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