2016/02/22
川崎汽船、先進環境技術満載の自動車運搬船 排ガス浄化、経済性も向上
SankeiBiz 2月22日(月)8時15分配信
川崎汽船の新しい自動車運搬船「DRIVE GREEN HIGHWAY」(7万6000総トン)が就航し、3月に処女航海へ旅立つ。排ガスを水で浄化する装置や、船舶用としては世界最大級の太陽光発電パネルを装備した「次世代型環境対応フラッグシップ」だ。
「未来の自動車、未来の鉄道車両を『未来の船』で運ぶ。世界の最優先課題である環境保全に貢献していきたい」。川崎汽船の朝倉次郎会長は、横浜港で12日に開かれたお披露目会で誇らしげに語った。同船は全長200メートル、幅と高さ38メートルで、ジャパンマリンユナイテッドが建造。パナマ運河の拡幅を見越してこれまでより船体を約5メートル広げた。12段のデッキに国内最大級の7500台(乗用車換算)を積み、輸送効率の向上を図る。
特長は2つある。まずは自動車や建設重機だけでなく、全長20メートルを超える新幹線などの鉄道車両も積める点。船尾の積載口の幅を従来比5割増の12メートルに広げており、長い車両も取り回せる。日立製作所が英国から受注した高速鉄道車両の輸送を想定して設計した。そして最大の特長は、国内メーカーが数々の最新技術を投入して実現した環境性能だ。
最上部に敷き詰めた912枚の太陽光パネルは、4人家族の1日の消費電力の約6割に当たる150キロワットを発電。貨物デッキの照明を全て賄える。長時間の出力安定性が高いソーラーフロンティアのパネルを採用した。
川崎重工業製ディーゼルエンジンは、軽油に水を30〜40%添加したエマルジョン燃料で駆動する最新型。排気再循環装置や自動ターボ制御装置も組み合わせて燃焼効率を向上させ、窒素酸化物(NOx)の削減率は50%以上を達成。さらに硫黄酸化物(SOx)の削減率は90%を超える。エンジンから出た排ガスを海水か真水で洗い、水に溶けやすいSOxを除去する仕組みだ。三菱重工業、三菱化工機と協力し、開発中の浄化装置(スクラバー)を搭載した。
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