2015/01/31
<電源構成>原発依存15〜25%に 有識者会議が検討
毎日新聞 1月30日(金)20時30分配信
済産業省の有識者会議は30日、原子力や再生可能エネルギーなど電源別の割合を示す電源構成(エネルギーミックス)の策定に向けた議論を始めた。焦点となる原発依存度は、東京電力福島第1原発事故前の約3割から15〜25%にする方向で検討する。再生可能エネルギーは20%台を軸に議論が進む見通し。今夏までに報告書をまとめ、20年以降の温室効果ガス削減目標に反映させる。
議論するのは経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の長期エネルギー需給見通し小委員会(委員長、坂根正弘・コマツ相談役)。政府が昨年4月に閣議決定したエネルギー基本計画に沿って、2030年の電源構成目標を策定する。
基本計画では、原発を発電コストが安価で昼夜問わず一定の発電を行う「重要なベースロード電源」と位置付けた。原発事故を踏まえ、「原発依存度を可能な限り低減する」としたが、具体的な水準は「見極める」とするにとどめていた。
原発依存度については、経産省内や産業界では、電気料金の抑制や電力の安定供給などの観点から「2割程度を確保すべきだ」との意見が強い一方、「原発ゼロを目指すべきだ」との世論も根強く、有識者委の議論は難航が予想される。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーについて、基本計画は「約2割を上回る水準を目指す」目標を掲げた。しかし、相対的に割高な発電コストが電気料金に上乗せされており、再生エネ推進と国民負担の抑制をどう両立するかが課題になっている。経産省は別の有識者委員会で、原子力や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを算出し、電源構成の議論に反映する方針だ。
電源構成は、年末の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けた温室効果ガス削減目標の前提となる。政府は6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)での削減目標表明を目指し、具体化を急ぐ。【中井正裕】
|